ラムネグから一言:寝る前に読むとくだらなすぎて逆に寝れると好評なすごい適当なブログをこっちではじめてます.
風の中のマリア、タイトルだけ見たらなんかよくありがちな異世界物のアニメっぽい。
ただそういうタイトルの持つ安っぽさ?みたいなのとは別にこの小説(言い忘れていたけれど風の中のマリアは小説なのである)はそもそもものすごい異質な小説になっている。
ここでは百田尚樹さんが書かれた「風の中のマリア」の感想をネタバレありで書いていきたい。
ハチのお話
風の中のマリア、なんといっても異質なのが主人公が「ハチ」という点。
最初この本を手に取ったとき、そして僕は本を読むかどうか本の裏にあるあらすじできめるのだけれど、そこには
- 命はわずか三十日。ここはオオスズメバチの帝国だ。晩夏、隆盛を極めた帝国に生まれた戦士、マリア。幼い妹たちと「偉大なる母」のため…
とズラズラ書かれてある。
「へぇ、ハチが主人公なのか」と思うと同時に「たぶんどこかで人間が関わってくるんだろうな。ハチと人間のなんかそういうストーリーみたいな。ハチ版仮ぐらしのアリエッティーみたいな」と思っていた。
そうして興味が出たので読んでみる事に。
んじゃもちろん一章はハチの女の子、マリアが主人公。
「ふんふん、んで2章で一気に場面展開して、例えばハチにくわしい教授とかの講義シーンに変わるんだろうな」と思ってたら、そのままマリア続投。
そう、この小説、風の中のマリアは本当に混じりっけ無しのハチの小説なのである。
絵本とかではそういうのはめずらしくないと思うけど、まあまあの文字数のある小説として人間が一切出てこない小説なんて今まで読んだことがない。
そこからはおもしろくて一気に読んでしまった。
ハチのワーカーの儚い一生のお話
儚い、と書いてしまうとよくないな。儚くも激しく燃えるような一生、が正しい。
風の中のマリアはハチの習性をそのまま小説の形まで昇華させてある。これを読むだけで「え、ハチってそんな風な生態だったのか」というのがすごくよくわかる。
上で書いた本のあらすじ文にも、ハチのワーカー(女王バチ以外のハチの事)は30日しか生きられない事に始まり、実はワーカーも子供を産める事、など今まで知らなかったハチの世界に一気に詳しくなる。
それと同時にハチ、というかマリアの感じたいろいろな儚さだったり、輪廻感だったり、いろんなのがミックスされていて、なんかとりあえずいろいろすごい。
イメージでいうとNHKとかでやっている動物の生態をくわしく、そして美麗映像で紹介する番組に、骨太なストーリーが加わったような、そんな感じ。
感動するか、といわれるとそれとはまた違うけど、読み終わった後に感じる「読み終わったな…」という思いは、なにかすごい重いものだった。
きっとハチの世界と、そしてハチの女の子マリアの世界を両方とも読了してしまったからいつもの2倍の重さが読後に襲ってきたんだろう。
まとめ
今回は百田尚樹さんが書かれた「風の中のマリア」の感想を書きました。
面白い小説。ハチの世界紹介とマリアの見た世界を描くのってすごく難しいんだろうなーと読んでいて思った。それこそフィクションにしてしまえばもっといろいろできただろうけど、そうじゃなくてハチの本当の生態を残してるっていうのがこの作品の面白さだし、スゴさだと思う。
読んでるとき完全に4Kのネイチャー系番組の映像でお送りされていた。
最後に、風の中のマリアのラスト、後日譚として新しい女王バチがマリアの面影をワーカーに感じるシーン。あれがこの小説を小説にしてるいい味だと思う。マリアは遺伝子は残していない(ハチは集団利益で動いている)けれど、マリアは次の世代に受け継がれている、的な。
マリア含めたワーカーの遺伝子は2種しかないんだからもちろん次の女王バチに遺伝子が引き継がれていて当たり前だけれど、そういう遺伝子やゲノムの話ではなく、マリアという個が次の世代に引き継がれている、とあの一文で感じられるのが非常にいい。一つの救いというか。
【おしらせ、というか完全なる宣伝】
文体がもうぜんぜん適当すぎてあれだけどものすごい自由に書いてるブログ「檸檬だくだく」もよろしく.寝る前に読める恐ろしくくだらないやつです.
こんなにも一ミリも目を引かれないタイトルを取り扱ってます: ココア20g / ハイチュウとかってさ / なぜ米と小麦を食べようと思ったのかの謎 /