行政書士と司法書士の違い。できる仕事の範囲をわかりやすく

資格

2016/08/31(水)

行政書士と司法書士の違い

行政書士と司法書士の違い、いきなり聞かれてもイマイチよくわかっていない方も多いのではないでしょうか。

というか弁護士以外の士業ってだいたいイメージが薄くて何している人なのかパッと分からないですよね。今回は士業の中でもさらに名前も似ている行政書士と司法書士の違いを主に仕事内容に絞って紹介していきます。

どちらも士業という点は同じなのですが仕事内容はかなり違ってきます。

士業
弁護士や税理士、司法書士に社労士のように○○士と呼ばれる職業でさらに法律系のものを特に士業(さむらいぎょう)と呼びます。

行政書士と司法書士の違い:もくじ

  1. 司法書士の仕事内容
  2. 行政書士の仕事内容
  3. 仕事別にどっちができるか比較!
  4. 司法書士・行政書士の試験難易度

司法書士の仕事内容について

まず司法書士の仕事内容から紹介していきますね。

司法書士は法務局に提出する書類の作成を主な仕事内容としています。この「法務局に提出する書類の作成」の中に一般に司法書士の仕事と言われている登記だったりが含まれています。

  1. 不動産の登記
  2. 会社の登記

さらに最近よく聞く過払い金請求。これは法改正によって司法書士に新たに追加された認定司法書士という制度で認められた仕事となります。

認定司法書士
認定司法書士は司法書士に合格後さらに試験を受けてなることが出来ます。認定司法書士になると訴訟額140万円以下の法律相談を弁護士と同じように受けることができ、さらに簡易裁判所のみですが弁護もできるようになります。

行政書士の仕事内容について

次に行政書士の仕事内容を紹介します。

行政書士は官公署(役所)へ提出する書類のうち、他の士業で特別に認められている以外の書類を作成することを主な仕事内容としています。「他の士業で特別に認められている以外の書類」なので法務局に提出する書類は上記のとおり司法書士の専門となり、行政書士は作ることが出来ません。(行政書士の仕事内容についてはコチラ「行政書士の仕事内容について」)

行政書士・司法書士を仕事別にどっちができるか比較!

次に行政書士、司法書士のどちらがその仕事を担当できるのか仕事内容別に見ていきます。

  1. 争いのない法律相談
  2. 争いのある法律相談
  3. 内容証明郵便を送る
  4. 会社の定款(ていかん)作成
  5. 会社設立の登記
  6. 遺言書作成
  7. 遺産分割協議書の作成
  8. 相続に伴う不動産の登記
  9. 相続放棄の申請
  10. 相続に伴う当事者間の争い
  11. 相続税の申告
  12. 建設業、薬局開設許可
  13. 外国人の帰化申請、著作権登録
  14. 成年後見人
  15. 成年後見人開始の手続き

争いのない法律相談

当事者間に争いの起こる心配のない法律相談は行政書士、司法書士に関わらず誰でもお金を取って仕事とすることが出来ます。

争いのある法律相談

当事者間に争いの起こる可能性のある法律相談は原則的に弁護士にしか依頼することが出来ず、司法書士も行政書士も仕事に出来ません。

ただ認定司法書士という司法書士からさらに試験をパスしてなるものがあるのですが、この認定司法書士であれば訴訟額140万円以下の法律相談であれば仕事とすることが出来ます。

内容証明郵便を送る

これはかなり今問題になっている部分なので、もしこの記事を読んでいらっしゃる方が依頼者としてどの士業に仕事を頼もうか考えてなら弁護士に頼むのがもっとも適していると言えます。

会社の定款(ていかん)作成

会社には会社の決まりごとをズラズラっと書いた定款(ていかん)という書類があります。

この書類は公証役場に行き公証人の認証手続きを踏む必要があるので、厳密に言うと官公署に提出する書類と言うことになり行政書士の独占業務です。ただ、定款は次の項目で紹介する会社設立の登記に添付する書類でもあるので、同時に法務局へ提出する書類でもあります。なので司法書士が作成することもグレーゾーンですが認められているようです。

会社設立の登記

会社についても不動産と同じで登記簿があり、その名簿に会社の名前や住所、資本金を載せることで初めて会社を設立したことになります。これも”登記”ですので司法書士の独占業務となり、行政書士はできません。

遺言書作成

遺言書には実は3つ種類があり自筆証書遺言と公正証書遺言そして秘密証書遺言に分かれます。

そのうち自筆証書遺言という特に届け出を必要としない遺言については行政書士、司法書士に関わらず誰が一緒に作ってもかまいません。

さらに公正証書遺言も遺言の原本になる文章はこちらが用意しますが、実際に遺言を作成するのは公証人と呼ばれる公務員なのでこれについても行政書士や司法書士に関わらず誰が作ってもかまいません。

最後に秘密証書遺言と言うものがありますが、これについては司法書士が行うのはグレーです。秘密証書遺言はこちら側で遺言(提出文書)を作成しそれを公証役場(官公署)に提出して認証を受けるので厳密には行政書士の独占業務となるはずです。

遺産分割協議書の作成

これも特に国に届け出る書類ではないので行政書士でも、司法書士でも、さらに無資格者が作っても問題ありません。

相続に伴う不動産の登記

不動産は登記簿という名簿に「この不動産はだれだれの持ち物である!」と記録されています。この登記簿は国が管理しそして法務局が窓口となっています。なので司法書士のみが行うことが出来ます。この事例に関わらず”登記”と名の付くものは司法書士の独占業務となります。

相続放棄の申請

これも提出先が法務局ですので司法書士のみが行うことが出来ます。基本的に行政書士が相続関係で出来る仕事は遺言書作成と遺産分割協議書の作成のみと考えてもらって大丈夫です。

相続に伴う当事者間の争い

例えば「兄貴の相続分が多すぎる!俺ももっと欲しい!」みたいな相続に伴う当事者間の争いについては司法書士(認定司法書士の場合だけ)のみが請け負うことが出来ます。ただいざ裁判になったときに司法書士は弁護することが出来ません。

※司法書士は140万円までの簡易裁判所での裁判で弁護が出来ますが、相続に関する裁判は家庭裁判所で行われるので残念ながら裁判で弁護することが出来ません。なので裁判まで見据えた相続相談については弁護士が適任となります。

相続税の申告

これも司法書士、行政書士はすることが出来ません。税理士のみがこの仕事を行うことが出来ます。

建設業、薬局開設許可

こういった営業に許可のいるものの申請については原則行政書士の独占業務となっています。司法書士は行うことが出来ません。

外国人の帰化申請、著作権登録

この二つも法務局への申請ではないので司法書士は行うことが出来ません。行政書士のみ仕事とすることが出来ます。

成年後見人

成年後見人という高齢の方等の財産を守る法律上の保護者を設定する制度があります。この成年後見人に司法書士や行政書士がなれるかどうかですが、これはそもそもなるのに資格が要らないので誰でもなることが出来ます。

成年後見人開始の手続き

成年後見開始には裁判所にその旨を伝えて審判を受けなければなりません。裁判所は法務局の管轄なので司法書士のみが行うことが出来ます。

司法書士と行政書士の仕事の違いを紹介

今回は士業の中でも名前の似ている司法書士と行政書士それぞれの業務について仕事内容を個別に見ながら紹介しました。

遺言書の作成や定款作成など司法書士でも行政書士でも行うことの出来る仕事もありますが、そのほとんどが異なった分野の仕事を担っていることがわかりました。

最後に司法書士と行政書士の試験難易度の話をしておしまいにしようと思います。

司法書士は合格までに必要な勉強時間は4,000時間とも言われ超難関資格の一つとして数えられています。時には新司法試験より難しいとさえいわれるほどです。行政書士は法律系資格の登竜門と言われ、500時間程度の勉強で十分に合格することが出来ます。

行政書士の合格法についてはこちらの記事にまとめました。興味が湧いた方は参考にしてください。(行政書士の独学勉強法について