社労士の独占業務。年金や国保の相談・カウンセリングは違法?

資格

2016/03/31(木)

年金や国保の相談にのるだけで違法?

今回は社労士の独占業務とされている年金や国民健康保険の書類の作成と提出について、「無資格だと何をしちゃうと違法なの?」「お金をもらってカウンセリングをしたら違法?」などについて紹介していきます。

実際にどこまでが独占業務なのか分かっていないと、カウンセリングの仕事とかもしづらいですよね。分かりやすく説明するために年金アドバイザーのパンダ君を例にしたいと思います。また字が多くなってしまったので、白抜きの部分に結論だけまとめてあります。

社労士についておさらい

社労士については以前の記事でも少しだけ紹介させていただきました。以前の記事(社労士と行政書士どちらに頼む?介護、保育の許認可申請

おさらいすると社労士はこんな職業でした。

社労士の業務のおさらい
社会保険と労務の書類作成と提出をお客さんの代わりに行うこと

また「独占業務」というのは資格を持っていない人がすると違法になる業務のことでしたね。独占業務についても以前書いた同じ記事で紹介していますのでよければ見てみてください。

社会保険と労務の書類って?

おさらいも終わりましたので、年金アドバイザーのパンダ君の登場です。

パンダ君はお客さんに年金のアドバイスをすることで生計を立てようと考えています。そんなとき社労士法のコトを友人から聞きました。違法にならないか不安なパンダ君ですが、さて法律上はどこまでのコトをすることが出来るのでしょうか。

社労士法の業務範囲に年金は含まれるのでしょうか?含まれてなければ社労士法を気にする必要はありません。

ということで最初は社会保険と労務の書類の範囲についてです。

以前の記事で書いたのですが、厚生年金関係の書類やハローワークに提出する書類、国民健康保険、介護保険に関わる書類と、社会保障制度に関するほとんどの書類の作成と提出がその範囲となります。

なので、お客さんに代わってこれら社会保障制度の書類(もちろん年金も含まれる)を作成・提出できるのは社労士さんだけというコトでしたね。年金アドバイザーであるパンダ君はお客さんに代わって書類を作成・提出してはダメ!ということになってしまいました。(この「作成」は公的機関へ出す書類の作成という意味で、同じく「提出」は公的機関への提出という意味です。)

お客さんの代わりに社会保障制度の書類(もちろん年金も含まれる)を作成し、公的機関へ提出できるのは社労士だけ!パンダ君はお客さんの代わりに書類の作成と提出ができない!

報酬の有無

厳密に言うと作成・提出もタダの場合はグレーだけどできるかもしれません。

後から説明する司法書士と社労士の独占業務の違いでもう一つ「報酬の有無」があります。

同じ「独占業務」というコトバなのですが、士業によってどこまでの行為が禁止されているかが違うんです。面白いですね~!

司法書士の独占業務に関して、資格のない人はタダでも有料でも繰り返して行うとダメ!違法!になります。

社労士の場合は報酬が有料の場合のみ繰り返して行うと違法となります。なので資格のない人でもタダで社労士の独占業務である「社会保険と労務の書類作成と提出をお客さんの代わりに行うこと」を行うコトができます。

ただ、無料で行っているとは言っても、メインのおまけ、サービスとして行っている場合、「そのサービスのおかげで顧客が増えている。これは間接的に報酬を得ているじゃないか!」という意見があり、ここがグレーな部分となっています。

じゃあ相談にのるのはどうなの?

年金アドバイザーのパンダ君にとって書類の作成や提出に関しては業務としてメインではないのであまり痛手ではありません。

では「相談にのること」はどうなのでしょうか。コレこそアドバイザーのメイン業務なのでパンダ君の死活問題となってきます。

これまた別の記事なのですが司法書士の独占業務には「相談に乗ること」も含まれているのでした。(司法書士の独占業務。業としてとは?報酬が無料ならいい?

社労士もやっぱり「相談にのること」も独占業務に指定されているのでしょうか?では社会保険労務士法を見てみましょう。社労士法では27条に資格のない人の禁止事項が書かれています。

社会保険労務士法27条
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。

報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。」と書いてあります。んじゃ次は社労士法の2条を見てみましょう。量が多すぎるので読まなくてかまいません。

社会保険労務士法2条
社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする。
一  別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等(行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、異議申立書、再審査請求書その他の書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識できない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)をいう。以下同じ。)を作成すること。
一の二  申請書等について、その提出に関する手続を代わつてすること。
一の三  労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告、審査請求、異議申立て、再審査請求その他の事項(厚生労働省令で定めるものに限る。以下この号において「申請等」という。)について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し当該行政機関等に対してする主張若しくは陳述(厚生労働省令で定めるものを除く。)について、代理すること(第二十五条の二第一項において「事務代理」という。)。
一の四  個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律 (平成十三年法律第百十二号 )第六条第一項 の紛争調 整委員会における同法第五条第一項 のあつせんの手続並びに雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 (昭和四十七年法律第百十三号)第十八条第一項 、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 (平成三年法律第七十六号)第五十二条の五第一項 及び短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 (平成五年法律第七十六号)第二十五条第一項 の調停の手続について、紛争の 当事者を代理すること。
一の五  地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第百八十条の二 の規定に基づく都道府県知事の委任を受けて都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第一条 に規定する個別労働関係紛争(労働関係調整法 (昭和二十一年法律第二十五号)第六条 に規定する労働争議に当たる紛争及び行政執行法人の労働関係に関する法律 (昭和二十三年法律第二百五十七号)第二十六条第一項 に規定する紛争並びに労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)をいう。以下単に「個別労働関係紛争」という。)に関するあつせんの手続について、紛争の当事者を代理すること。
一の六  個別労働関係紛争(紛争の目的の価額が百二十万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限る。)に関する民間紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律 (平成十六年法律第百五十一号)第二条第一号 に規定する民間紛争解決手続をいう。以下この条において同じ。)であつて、個別労働関係紛争の民間紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として厚生労働大臣が指定するものが行うものについて、紛争の当事者を代理すること。
二  労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含み、申請書等を除く。)を作成すること。
三  事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること。

アホほど長いですね…。分かりやすく言うとこうなります。

条文上の社労士の業務

  1. 社会保障制度の書類の作成、提出、却下されたら文句言う(一~一の三)
  2. サービス残業問題とかの解決(一の四~一の六)※通常の社労士は出来ない業務
  3. 帳簿の作成(二)
  4. 相談(三)

※右の漢数字は条文の番号(号数)です。

この「三」の部分です。もう一度社労士法27条を見てください。

社会保険労務士法27条
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。

第二条第一項第一号から第二号までが独占業務としていますよね。なので「三」の相談については27条に含まれていません。社会保障制度の相談については独占業務じゃないんですね!

「相談」は独占業務じゃないのでパンダ君は年金アドバイザーとして年金のアドバイスを思う存分できる!

まとめ:結局のところ…

年金アドバイザーのパンダ君は結局のところこんな業務が出来ることがわかりました。これなら年金アドバイザーとして生計を立てられそうですね!
けっきょく年金アドバイザーのパンダ君は…

お客さんの年金の相談にのって適切なアドバイスをすることが出来る!

ただ、お客さんの代わりに公的機関に出す年金関係の書類を作成したり、提出するのはダメ!(無料で作成・提出はグレー)

いかがでしたか?

今回は年金について見ましたが、介護保険のことだったり国民健康保険のことも同様です。相談にのるのはまったく問題ありません。

ファイナンシャルプランナーや年金アドバイザーは相談業務をすることができるのでヘンに法律を気にしなくていいですね!

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