司法書士の独占業務。業としてとは?報酬が無料ならいい?

資格

最終更新日:2016/10/03

司法書士の独占業務について

司法書士にお世話になるとき、それはほとんどが登記を申請するときだと思います。

普段から接する職業ではないので、どんな仕事をしているのか、何を独占業務としているのかがわかりづらいので、まずは独占業務が何かを見てみましょう。

独占業務

独占業務というのは資格を持っていない人がその業務をすることを一律に禁止している業務のことです。

このままだと資格のない人が家族の手伝いでその業務をするのも違法になってしまいますので、但し書きがあります。詳細は記事内で説明していきます。

司法書士の独占業務については法律できちんと決められています。司法書士法73条1項がそれにあたります。

司法書士法第73条1項
司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

「つ」が大文字なところとかが古風ですね。

とにかく司法書士法の第三条第一項第一号から第五号を独占業務と定めているワケです。では次にその第三条第一項第一号から第五号を見てみましょう。

司法書士法第3条1号~5号

司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。

  1. 登記又は供託に関する手続について代理すること。
  2. 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。
  3. 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
  4. 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節 の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第八号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
  5. 前各号の事務について相談に応ずること。

ズラズラと長いので読む気がなくなってきちゃいますね。

簡単にまとめると司法書士は独占業務として以下のコトが出来ます。

登記と供託。法務局や裁判所、検察庁へ出す書類の作成をし、提出先が法務局なら提出もする。受け付けられなかったら文句を言う。それらの相談

  1. 司法書士の独占業務について
  2. 「業として」ってどういう意味?
  3. 報酬の有無については司法書士法は気にしていない
  4. 司法書士の独占業務違反のまとめ

「業として」ってどういう意味?

先ほどまでのはなしですと、独占業務として決められているので、家族や親戚の代わりに登記を行うことも違法になってしまいます。これでは困ります。

なのでもういちど司法書士法3条のはなしに戻ります。

司法書士法第3条抜粋

司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。

司法書士法3条の冒頭の部分だけ抜き出してみました。この中に「業とする」という言葉があります。

この「業とする」という言葉の意味はなんなんでしょうか?あまり聞かない言葉ですよね。

「業とする」の意味は、

業(ぎょう)とする
法律の用語で、「繰り返し反復する意思を持って行うこと」とされています。なので最初の一回目でも仕事としてこれからやっていく気持ちがあるなら「業として」行ったことになりますし、反対に繰り返し行う気持ちがないのにたまたま何度かそれをすることになった場合は、「繰り返ししてやろう!」という気持ちがないので「業として」ではないことになります。

となっているようです。その人の気持ちで結果が変わってくるのが面白いですね。

つまり「繰り返し反復する意思を持って行うこと」でなければ、司法書士の独占業務である

登記と供託。法務局や裁判所、検察庁へ出す書類の作成をし、提出先が法務局なら提出もする。受け付けられなかったら文句を言う。それらの相談

を行ってもまったく問題ないということになります。家族の代わりに登記をしても大丈夫そうです。

ただ報酬アリだとどうなんでしょう?違法になってしまうのでしょうか?

報酬の有無については司法書士法は気にしていない

司法書士法第73条1項をもう一度見てみましょう。

司法書士法第73条1項
司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

特に報酬の有無について書いている箇所は見当たりません。単純に資格のないものが独占業務を行うことを禁止していますね。

なので司法書士の独占業務については無料で行っていても「業として」行っていればそれはダメ!ということになります。

司法書士の独占業務違反とは
「何度もやってやるぞ!」という気持ちで「登記と供託。法務局や裁判所、検察庁へ出す書類の作成をし、提出先が法務局なら提出もする。受け付けられなかったら文句を言う。それらの相談」を行った場合は、タダでも有料でもダメ!

司法書士の独占業務違反のまとめ

繰り返しする気持ちで「登記と供託。法務局や裁判所、検察庁へ出す書類の作成をし、提出先が法務局なら提出もする。受け付けられなかったら文句を言う。それらの相談」を行ったときがダメなんでしたね。

そして報酬の有無は関係ないのでした。

実際家族や親戚の登記を代わりする場合、そのお礼としてお金を貰っていたとしても仕事としてしていない以上、繰り返しそれを行おうとは思っていませんのでまったく問題ありません。

反対に、例えば別の仕事のサービスと明記して登記を無料で提供している場合、コレはサービスとして提供している以上繰り返しする気持ちがありますのでダメ!になりますね。

とりあえず仕事としてしない場合は気にする必要はないので安心ですね!