「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の最後

くらし 読書感想文

2017/08/06(日)

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」感想

今回は村上春樹著の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の感想を少し書こうと思います。

前回紹介した「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」に比べるとストーリーの起承転結もはっきりしているし、主人公も、そして多くの登場人物についても好感がもてるので読んでいて楽しい作品でした。

今回はネタバレを含むのでまだ読まれていない方は注意!では行きましょう!

あらすじ※ちょっとネタバレあり

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」は多くの章で構成されています。また、作中には大きく異なる二つの世界が登場し、多くの場合章をまたぐごとに、この二つの世界が交互に描写されていき、そうすることでストーリーが展開されていきます。

たぶん「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」の二つがそれぞれ二つの世界の名前になっているんだと思います。

少しネタバレですが、いわゆる現実世界の方が「ハードボイルドワンダーランド」で、主人公である「私」の中だけに存在する精神世界が「世界の終わり」となっています。

「世界の終わり」の方は童話みたいな世界観でほのぼのとした描写も多いので、読んでいて飽きないのもいいところですよね。

最後どうなった?※ネタバレ

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の最後、結局現実世界の主人公はどうなったのでしょうか?精神世界である「世界の終わり」に囚われて永遠の人生に突入したのでしょうか、それとも影だけが戻ってきたことによって再びコレまでと同じように現実世界である「ハードボイルドワンダーランド」を生きていくことになったのでしょうか。

とても個人的な感想ですが、最後はやっぱり「世界の終わり」に永遠に囚われたのだと思います。

「世界の終わり」にいた「ぼく」とその半身である「影」。影は冬を迎えることでだんだんと弱っていき最後には死んでしまうという事でした。そして影の死自体が現実世界での「私」のタイムリミットと連動していたんだと思います。

というコトは現実世界の「私」がタイムリミットを向かえ「世界の終わり」に囚われるとすると、それは「ぼく」として囚われることになるはずです。本来「私」に性格が似ていて、「私」の代弁者で化身のようだった「影」はもう死んでしまっているので。

最後、影は「世界の終わり」からの脱出を果たし死ぬことはありませんでしたが、結局死ぬのと同じように「影」はもう「世界の終わり」からはいなくなってしまいました。

あの世界を作り出した中心である「ぼく」が存在する限り「世界の終わり」は止まることなく、そして「影」の消滅を持って「私」を取り込んでしまうのだと思います。

とはいってもやっぱり、「影」はきちんと逃げ出せてるんだから、「私」も「影」と一緒に現実世界に戻ってこられた、とどっこいどっこいな考えだと思います。あとは単にそっちの結末の方が物語的に楽しいから、そういう風に考えて(思い込んで)います。