「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は面白くない

くらし 読書感想文

2017/08/06(日)

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の感想

最近発声練習のために小説を音読して読んでいます。声を出して読むことで腹から声が出るようになってきた気がします。けっこうおすすめですよ~!

発声練習なのでどんな本でもよかったのですが、どうせ読むならきれいな文体の方が読んでて楽しいだろうとというコトで、文体に定評がある(?)村上春樹の小説を音読してました。

もともと村上春樹の小説はあんまり好きじゃないんですが(無駄な性描写が多すぎ、主人公の性格が気持ち悪い。etc「あるいはそうかもしれない」じゃねえよ。まったく。)、文体の軽やかさみたいのはやっぱりすごいと思います。あんまり他の小説にはない独特な文体ですよね。

そして毎年ノーベル賞受賞の期待がかかる村上春樹の小説ですが、正直この「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は面白くなかったです。

今回は「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の感想をネタバレしない範囲で紹介していきますね。

多崎つくる、ナヨナヨしすぎ!

村上春樹の小説の主人公はだいたいおんなじ性格。主体性がなく、口癖が「あるいはそうかもしれない」で、カティーサークというお酒を飲んで、日常履きとしてテニスシューズを履き、ジムでクロールを数キロ泳ぐことを習慣としていて、クラシック音楽や海外のイージーリスニングミュージックに無駄に詳しい、そんなやつ。

そして登場人物は女性が多く、またなぜかそんな登場人物たちは主人公に対しおおむね好意を抱いていて、すぐに主人公に抱かれることになる。

だからこれはこの小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」に限った話じゃないけど、それでも他の村上春樹著の作品と比べても特にこいつ「多崎つくる」はナヨナヨしすぎで気持ち悪い。かなり気持ち悪い。

※例えば「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」の主人公は多崎つくるに比べれば、かなり気持ちのいい性格をしています。

一例を挙げると主人公「多崎つくる」はストーリーの中である女性に強く惹かれるのだけど、その女性へのアプローチが気持ち悪い。早朝4時に電話をかけて「君のことが本当に好きだし、心から君をほしいと思っている」といきなり言っちゃう。ちなみにこの女性とは付き合っているかどうか微妙なライン。しかもその数分の電話の中で上記とおんなじワードを計3回も執拗に伝える。

そして物語の終盤、この女性に捨てられたらぼくは死ぬだろうとか36歳にもなって真剣に考えちゃう。かなり怖いです。メンヘラ的な。そういう気配を感じてしまいます。

結局なにがしたかった?エロ描写多すぎ

これも村上春樹の小説全般にいえることなんですが、結局なにが言いたいのか、何がしたいのか、小説のテーマがわかりません。ただだからといって村上春樹の小説がダメ!というんではなくって、村上春樹の小説は「意味なんてどうでもいい!オレ(私)は文体のきれいさ、軽やかさに病みつきなんだ!」と普通の小説とは違う方向でファンがついているんだと思います。

確かに文体は心地よくて読んでて楽しいですよね(エロい部分は除いてですが)。

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」についても文体のすばらしさは他の村上春樹作品と同じですばらしかったと思います。

全編通してほとんどなにも進展していませんが、それも”村上的”というコトなんでしょう。(こういう○○的という表現も”村上的”ですよね。「昭和40年代的な笑い方」、みたいな)

それは何個か読むうちに慣れたからいいんですが、それにしてもエロ描写が多すぎ!ノルウェイの森でも辟易としていましたが、それに負けず劣らず性描写ばっかりです。性描写なくしたら30ページくらいページ削れるんじゃないかな。「性夢」という単語が最も多く出現した小説としてギネスに載るんじゃない?

チョット意外なところ

この「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の感想」は村上春樹の他の長編作品と違って、三人称視点で描かれているのが印象的でした。今まで読んだのはぜんぶ「ぼく」だったのですが、この小説に関しては「つくる」や「彼」と言った視点で話が進んでいきます。

だから何か読んでて感じ方が違ったかと言われれば、特に思い当たるフシはないんですが、違和感?みたいなものは読み始めた当初ありました。きっとなんか意図されていたんでしょうね。

感想まとめ

うーん、やっぱりあんまりおすすめはできません。最新作の騎士団長殺しを読んでないしIQ84も読んでいないのでなんともいえませんが、最近の作品の方が性描写が増えてる気がします。

「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」とか「ねじまき鳥クロニクル」とか割りに初期の作品?はけっこう好きだったんだけどな。あといっちばん好きだったのが短編小説の「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」です。文体がめちゃくちゃいい感じでおすすめです。